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福津市八並の庚申堂 (こうしんどう)

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福岡県福津市八並字森
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◆◆◆◆◆ 庚申信仰(こうしんしんこう) ◆◆◆◆◆

●庚申信仰(こうしんしんこう)ってなに? 
 庚申信仰(こうしんしんこう)は中国道教の説く 三尸説(さんしせつ)をもとに、仏教(密教)、神道、修験道や、日本の民間のさまざまな信仰や習俗などが複雑に絡み合った複合信仰です。
60日に一度めぐってくる庚申(かのえさる)の日に健康長寿を祈って夜を眠らずに過ごすことを庚申(こうしん)講と言いいます。
これは、人間の頭と腹と足には三尸(さんし)の虫(彭侯子・彭常子・命児子)がいて、いつもその人の悪事を監視していると言われていたのです。 三尸(さんし)の虫は庚申(かのえさる)の日の夜の寝ている間に天に登って天帝に日頃の行いを報告し、罪状によっては病気になったりして寿命が縮められると信じてられていました。

そこで、三尸の虫が天に登れないようにするため、庚申(かのえさる)の日の夜は村中の人達が集まって神々を祀り、その後、寝ずに酒盛りなどをして夜を明かしました。 これを庚申(こうしん)講といいます。
この庚申講は地域の親交を深める大事な行事でもあったのです。その庚申(こうしん)講を3年18回続けた記念に建立されたのが庚申塔(こうしんとう)で、昭和の初めまで庚申塔は建てられ今も各地に残っています。

●庚申(かのえさる)の日ってなに?
 昔は年や日を十干(じっかん)、十二支(じゅうにし)の組み合わせであらわしていました。その組み合わせを干支(えと)と言います。

【十干(じっかん)】
甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)の 10の要素の順列です。

【十二支(じゅうにし)】
子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)の干支(えと)の12の要素の順列です。これは年賀状のときにお世話になる通称 干支(えと)ですね。

 上記のそれぞれの順番の組み合わせが干支(えと)です。最初はそれぞれのトップで「甲子」となり、2番目はそれぞれの2番目で「乙丑」となります。 全部書くと下記のようになります。
1甲子、2乙丑、3丙寅、4丁卯、5戊辰、6己巳、7庚午、8辛未、9壬申、10癸酉、11甲戌、12乙亥、13丙子、14丁丑、15戊寅、16己卯、17庚辰、18辛巳、19壬午、20癸未、21甲申、22乙酉、23丙戌、24丁亥、25戊子、26己丑、27庚寅、28辛卯、29壬辰、30癸巳、31甲午、32乙未、33丙申、34丁酉、35戊戌、36己亥、37庚子、38辛丑、39壬寅、40癸卯、41甲辰、42乙巳、43丙午、44丁未、45戊申、46己酉、47庚戌、48辛亥、49壬子、50癸丑、51甲寅、52乙卯、53丙辰、54丁巳、55戊午、56己未、57庚申、58辛酉、59壬戌、60癸亥

上記の組み合わせが全部です。57番目が庚申(かのえさる)の日で60日に一度やってきます。61日目は上記の1と同じになります。

これは日付に対する干支(えと)の組み合わせですが、年に対しても同じようにあります。その中で特別に言われるのは丙午(ひのえうま)ですね。
丙午(ひのえうま)年生まれの女性は気が強いと云われています。しかし、秋篠宮文仁親王の妃である紀子さんが丙午(ひのえうま)年生まれであるが、気が強いことはないので、 丙午(ひのえうま)を気にする人が少なくなったと言われています。
やはり丙午(ひのえうま)も60年に一度やってきます。次回は2026年が丙午(ひのえうま)の年になります。60年で元に戻ることを還暦(かんれき)と言います。60歳になると還暦と言って祝う理由は、この干支(えと)の組み合わせにあるのです。

●八並の庚申堂(こうしんどう)
 八並公民館の西側約200mの位置に庚申堂(こうしんどう)があります。八並公民館にある説明文は以下のようになっています。
 八並公民館にある説明文 引用 

庚申様まつり
互葺(かわらぶき)の小さな庚申堂(こうしんどう)があり、お堂の中に石の庚申塔がまつられています。
「庚申様まつり」は五穀豊穣のお祭りで、「庚申の日」に行われていましたが現在は1月8日の近い休日に森組と呼ばれる地区の人達が伝統を残しています。
昔はお堂と共に通夜堂があり、夜中に餅をついて一晩中話をして過ごしました。この日は石川五右衛門が生まれた日で、五右衛門のような子供が できてはどうにもならんと「嫁さんの所にかえらんようにしよった」という話もあります。
手洗い石 文化十三年(1816年)子二月吉日の文字が刻まれている。

 八並公民館にある説明文 引用 おわり 

 夜中に餅をついていたとか、石川五右衛門の話は面白いですね。初めて聞きました。

※ 掲載した内容は 2014年8月30日時点の内容です。変更になるおそれがあります。自己責任で御利用ください。

 
 


 ◆ 八並の森地区にある公民館の西側約200mの位置にある庚申堂(こうしんどう) ※ 2014/08/30 撮影
八並の森地区にある公民館の西側約200mの位置にある庚申堂(こうしんどう) ※ 2014/08/30 撮影


 ◆ 庚申堂(こうしんどう)は大きなクスの木の下にある
庚申堂(こうしんどう)は大きなクスの木の下にある

 八並公民館の西側約200mの位置に庚申堂(こうしんどう)があります。小さな瓦葺きの御堂があり中に石(庚申塔)が祀られています。
石(庚申塔)には庚申尊天(こうしんそんてん)」と刻まれているそうだが、ほとんど判別できなかった。
御堂(おどう)は新しく昨年(平成25年)に建替えられたようです。御堂の後ろに大きな楠(クスノキ)が立っており、とても気持ちの良い場所です。
ここはそれほど高台ではないのですが八並森地区などが良く見えます。

 福津市内に庚申塔は約100あるそうですが、庚申堂があるのはここだけです。そして「庚申様まつり」を行っているのもここだけです。
伝統を受け継いで末永く続けてほしいですね。

 じつは、上西郷の年田組(としだぐみ)でも「庚申祭り」を行っていました。新年最初の申の日(さるのひ)には初庚申(はつこうしん)といい、福岡市早良区藤崎にある庚申さま(猿田彦神社)に 毎年お参りに行きましたが、たいへんな人出でにぎわっていたそうです。しかし、「庚申祭り」は座元(当番)の経済的な負担が大きいと西暦2000年に中止になったようです。残念ですね!

動画案内(約3分30秒)

 ◆ 庚申堂(こうしんどう)は平成25年に建替えられて新しい
庚申堂(こうしんどう)は平成25年に建替えられて新しい

 ◆ 昔はお堂と共に通夜堂があり、夜中に餅をついて一晩中話をして過ごしたそうだ
昔はお堂と共に通夜堂があり、夜中に餅をついて一晩中話をして過ごしたそうだ

 ◆ 庚申堂から見る八並森地区
庚申堂から見る八並森地区
 ◆ ここの全体の雰囲気がとても良い
ここの全体の雰囲気がとても良い
 ◆ 石仏が2体ある
石仏が2体ある

 ◆ 八並ののどかな景色に溶け込む石仏
八並ののどかな景色に溶け込む石仏

 ◆ 石仏は長い間の風雨で痛んでいるようだ
石仏は長い間の風雨で痛んでいるようだ

 ◆ この手洗い石も古いものらしい
この手洗い石も古いものらしい
 ◆ 福津市で庚申堂が残っているのはここだけ
福津市で庚申堂が残っているのはここだけ
 ◆ 石(庚申塔)が祀られている
石(庚申塔)が祀られている

 ◆ 「庚申尊天」と刻まれているようだが良く分からない
「庚申尊天」と刻まれているようだが良く分からない
 ◆ 楠(クスノキ)の大木が庚申堂を守っている
楠(クスノキ)の大木が庚申堂を守っている

 ◆ 楠(クスノキ)の樹齢は200年くらいか?
楠(クスノキ)の樹齢は200年くらいか?
 ◆ のどかな八並の風景と庚申堂(こうしんどう)
のどかな八並の風景と庚申堂(こうしんどう)




 
 

◆◆◆◆◆ 福津市の庚申塔(こうしんとう) ◆◆◆◆◆

 福津市(福間+津屋崎)には庚申塔は全部で約100あるそうだ。江戸時代に盛んに作られた庚申塔も明治政府の指導で撤去されたり碑文を削ったりしたそうなので、 今、残っている庚申塔はそれらの災難をくぐりぬけた庚申塔達です。

 庚申塔は神社や寺などの境内や道端にあります。福津市で一番古い庚申塔は津丸公民館付近の津丸観音堂の境内にある庚申塔で貞享五戌辰年三月吉祥日(西暦1688年)のものです。
逆に一番新しい庚申塔は小竹公民館前の庚申塔で昭和九年三月(西暦1934年)のものです。昭和の初期まで庚申塔が建てれれていたことが分かります。
他に八並には的原神社の境内や八並吉原観音の所にもありました。もっとあるかもしれません。

※ 参考文献 文化福津 第7号 2012 「I love 庚申塔 in fukutsu」 福津郷土史会 著


 
 

 ◆ 福津市で一番古い庚申塔
 (津丸公民館付近の津丸観音堂境内)西暦1688年建立

福津市で一番古い庚申塔(津丸公民館付近の津丸観音堂境内)西暦1688年建立
 ◆ 福津市で一番新しい庚申塔
 (小竹一丁目六小竹公民館前の道端)西暦1934年建立

福津市で一番新しい庚申塔(小竹一丁目六小竹公民館前の道端)西暦1934年建立

 ◆ 的原神社の境内の庚申塔
的原神社の境内の庚申塔
 ◆ 八並吉原観音の庚申塔
八並吉原観音の庚申塔
 ◆ 動画案内(詳細版 約3分30秒)
八並の庚申堂 動画案内


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