田主丸・虫追い祭り（福岡県久留米市田主丸町）・福岡地域別探検

◆◆◆◆◆　田主丸・虫追い祭り　◆◆◆◆◆

　久留米市田主丸町で開催される「虫追い祭り」は古く江戸時代から、この筑後地方で行われていた「伝統文化」です。
しかし、戦後しばらく途絶えていました。それを昭和49年（1974年）にJAにじ田主丸地区青年部・パイオニアクラブの手で復活させ、3年毎に開催し、今年（2013年）で13回目を迎えます。

　祭りには二人の武将の人形と馬が出てきます。そして鉦（かね）や太鼓が打ち鳴らされる中、人形同士がぶつかり合う「合戦」を繰り返し展開します。
二人の武将の赤い衣装は手塚太郎光盛（てづかのたろうみつもり）という武将で、黒い衣装は斉藤別当実盛（さいとうべっとうさねもり）という武将です。
この二人が戦ったのは平安時代の寿永２年(1183)に行われた源平合戦の一つである北越前篠原の合戦です。
北越前篠原の合戦は源氏の木曽義仲軍と平氏軍との間で行われた戦闘で、平安時代末期における治承・寿永の乱の戦闘の一つでした。

　北越前篠原の合戦で斉藤別当実盛（さいとうべっとうさねもり）と木曽義仲軍の手塚太郎光盛（てづかのたろうみつもり）が戦った際、斉藤別当実盛が稲の切り株につまずき転んで、手塚太郎光盛に討ち取られたので、それを恨んだ実盛の霊が虫の姿となって稲に害を与えるようになり、その霊を慰めるために、この祭りを行うようになった、と伝えられているのです。
そして、馬は斉藤別当実盛（さいとうべっとうさねもり）の愛馬で主人が不利になると戦に割って入り戦場を暴れ回るという設定になっています。
この斉藤別当実盛（さいとうべっとうさねもり）を打ちとった事や斉藤別当実盛は木曽義仲の命の恩人であった話しなどは「源平盛衰記」や「平家物語巻(第七・篠原合戦）で有名な話のようです。

　それにしても、遠く加賀国篠原（現・石川県加賀市旧篠原村地区）の戦いが、どうして田主丸と関係があるのか疑問が残りますが、稲の害虫は実盛（さねもり）の霊という話は、昔には日本全国津々浦々（つつうらうら)まで有名な話だったのだと思われます。
だから、ここ田主丸など筑後地域でも３００年前から実盛（さねもり）の霊を慰める「虫追い行事」が行われたのだと推測するのです。

　2013年11月16日に３年ぶりに「田主丸・虫追い祭り」が開催されました。祭りのスケジュールは下記の通りです。

【昼の部】
●8：30～　一麦寮（田主丸）
●9：30～　千歳療護園（田主丸）
●10：15～　ひじり園（田主丸）
●11：00～　ＪＡにじ耳納の里（吉井）
●15：00～　田主丸耳納の市会場

【夜の部】
●18：30～19：30　巨瀬川（田主丸中央橋上流）

※ここに記載した情報は取材時点（2013/11/16）の情報です。変わるおそれがありますので自己責任で御利用ください。