鳥越の峠の茶屋
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明治30年12月31日の大晦日の日に夏目漱石は僚友の山川信次郎とともに,この鳥越の峠を越へ,野出の峠を越へて小天温泉に行った。その時に立ち寄った鳥越の峠の茶屋が平成元年に復元されている。後にこの時の思い出を素材にして不朽の名作[草枕]が書かれた。
その中にこの茶屋のことを[オイと声を掛けたが返事が無い。軒下から奥をのぞくと・・・]と書かれている。
野出の峠にもその時代には茶屋があり,漱石はそこにも立ち寄っている。[草枕]に出てくる茶屋は,この2つの茶屋を1つに描写しているのではないかとも言われている。
漱石の歌碑には[春風や惟然(いぜん)が耳に馬の鈴]と刻んである。現地の説明板によると,この惟然とは松尾芭蕉の弟子の広瀬惟然のことで,惟然はある日風も無いのに散る梅の花を見て感動,突然に悟って,妻子も家業も捨てて僧になったという変わり者であった。芭蕉の死後その供養のため,芭蕉の句を念仏のように唱えて日本中を廻ったといわれており,この句は春ののどかな情景を描いた句と言われている。
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